薬学とは?学ぶ内容や卒業後の進路を知ろう



この記事について
「薬学って薬の何を学ぶの?」「薬学部では何を勉強するの?」「卒業後はどんな仕事に就けるの?」
一度はこんな疑問を持ったことがある人は多いのではないでしょうか。
薬学は、私たちの健康と命を守る「薬」について深く学ぶことで、さまざまな形で医療や社会に貢献できるとても実用的で魅力的な学問です。
今回は、薬学という学問について、特徴や学習内容、卒業後の進路についてわかりやすく解説します。
北海道科学大学薬学部の特色にも触れていますので、ぜひ最後まで読んでみてくださいね!
このコラムは、私が書きました!
教授戸田 貴大Toda Takaki薬物動態学 臨床薬物動態学 臨床薬理学
私は北海道科学大学薬学部で薬学部長を務めています。
薬学部に入学したときには、漠然と「製薬企業に勤めるんだろうな」と考えていたのですが、大学院生のときのボスの勧めで大学教員になり、早いもので30年以上が経過しました。
専門は「薬物動態学」と呼ばれる分野で、薬を投与した後の身体の中の動きを、血液中や尿中の薬物濃度を使って説明しようとする学問です。
薬の体内動態がわかると、薬の効果を予測できるだけでなく、その患者さんに合った適切な投与計画の立案につなげることができます。
また、「薬物動態学」は、医療施設との共同研究を実施しやすい学問の一つです。
それは、研究結果を臨床にフィードバックしやすいと言い換えることができます。
難しいけれどワクワクが止まらない、そんな学問です。
目次
「薬学」ってどんな学問?
薬学とは、薬に関するあらゆることを学ぶ学問です。
たとえば…
- どうやって薬は作られるのか?
- どんなしくみで効くのか?
- 安全に使うにはどうしたらいいか?
- 患者さんに合った薬の使い方とは?
こうした問いに、科学の力で答えていくのが薬学です。
薬学は大きく分けると2つの領域があります。
基礎薬学
新しい薬を開発したり、薬の性質や体内での動きを研究したりします。
主な科目に有機化学、物理化学、生化学、生理学、薬剤学、衛生化学などがあります。
これらの学びを通して、薬の構造や性質、体内での働きなどを科学的に理解することができるようになります。
医療薬学
実際に薬を使う現場(病院や薬局など)での適切な使い方、副作用の管理、医療チームとの連携などを学びます。
人と関わる医療人としての力も求められます。
また、医薬品の安全性?有効性を高めるための研究も含まれています。
薬学は「薬を渡すだけ」の時代から、「患者一人ひとりに合わせた薬物治療を提案する」時代へと進化しています。
「薬学部ではどんなことを学ぶの?」
薬学部には、4年制課程と6年制課程があります。
薬剤師になるための国家試験受験資格を得るためには、6年制の薬学部を卒業しなくてはなりません。
4年制課程では卒業後多くの学生が修士課程、博士後期課程に進学し、修了後は製薬企業などで新薬の開発などに従事しています。
ここでは、6年制課程における薬学の学びについて説明します。
カリキュラムは体系的に組まれており、基礎から応用へと徐々にステップアップしていくことで、薬剤師や研究者になるために必要な幅広い知識と技能を段階的に学んでいきます。
1~2年次:基礎科目(自然科学)をしっかり学ぶ
1年次から2年次にかけては、薬学の基礎となる化学、生物学、物理学などの自然科学系科目を中心に学びます。
主な科目は、有機化学、分析化学、物理化学、生化学、機能形態学などです。
これらは高校で学んだ化学や生物の知識と密接に関連しており、それらをさらに深く掘り下げ、生体の構造や機能、生命のしくみなどを学んでいきます。
また、医療人として必要な倫理観やコミュニケーション能力を高めるための科目も開講されます。
3~4年次:専門的な知識と技能を習得する
3年次から4年次では、薬理学(薬の効き方)、薬剤学(医薬品の形状とその特徴、服用後の身体の中での動き)、衛生化学(健康の保持?増進)、薬物療法学(薬の使い方)、病態生理学(疾病の原因や特徴)など、薬学らしいより専門的な内容を学びます。
また多くの大学では、4年次から研究室に所属されて卒業研究にも取り組みます。
自分だけの“研究テーマ”について深く探究し、科学的な思考力や問題解決能力を養います。
また4年次には、薬学共用試験を受験します。
現場での実習に必要な薬の知識、薬剤師としての技能?態度が身についているかを確認する試験であり、これに合格しないと実務実習に参加できません。
5~6年次:実務実習と卒業研究を行う
5年次には、いよいよ「実務実習」が始まります。
薬局や病院で薬剤師の仕事を体験し、大学で学んだ知識を実践に生かす力を身につけます。
患者との関わりや他の医療スタッフとの連携を通じて、薬剤師としての責任と使命を身をもって学ぶことができるでしょう。
6年次には、4年次から始めた卒業研究を仕上げて発表会で発表したり、卒業論文としてまとめたりします。
また、卒業後の薬剤師国家試験に向けた勉強に取り組みます。
北海道科学大学薬学部薬学科のカリキュラム
北海道科学大学薬学部薬学科では、「地域社会に貢献する薬剤師」の養成を目指し、高度な専門知識と技能を持った薬剤師を育成するための基礎薬学から臨床薬学までバランスの取れたカリキュラムを組んでいます。
また本学には、国の設置基準を上回る数の実務経験を有する教員(専門薬剤師?認定薬剤師を含む)がおり、現場目線で実践的な講義?実習を展開しています。
さらに、地域医療や在宅医療など、これからの薬剤師に求められる新たな役割についても学びを深めることができます。
薬学部を卒業したら?就職や進路について

6年制薬学を学んだあとは、多くの人が薬剤師として働きますが、創薬研究など薬剤師資格を生かしたさまざまな分野で活躍する道があります。
薬学部を卒業することで目指せる職業としては、以下のようなものがあります。
- 薬剤師
- ドラッグストアスタッフ
- MR(医薬情報担当者)
- 公務員(麻薬取締官、保健所職員など)
- CRA(臨床開発モニター)
- CRC(治験コーディネーター)
- 製薬企業研究?開発職
- 医薬品卸売企業スタッフ
- 医薬品総括製造販売責任者
- 麻薬管理者
- 食品衛生管理者
- 公害防止管理者
- 衛生管理者
- 労働衛生コンサルタント
- 作業環境測定士
- 環境計量士
- 学校薬剤師 など
なかでも、薬学部卒業者に多い職業について、詳しく見ていきましょう。
薬剤師として働く
薬剤師としての主な就職先は、病院、調剤薬局、ドラッグストアの3つが中心。
病院薬剤師の場合、入院患者への薬の供給や管理、医師への医薬品情報提供が中心業務となります。
チーム医療の一員として他の医療スタッフと連携し、患者の治療を多角的に支えるのも重要な役割です。
調剤薬局では、医師の処方箋に基づく調剤業務と患者への服薬指導が主な仕事になります。
近年は在宅医療への参画も増え、自宅療養中の患者の薬の管理や指導も担当することが多くなりました。
ドラッグストアの薬剤師は、市販薬の販売や健康相談、セルフメディケーションのアドバイスなどを行い、地域住民の健康維持に貢献しています。
薬剤師資格を生かした多様なキャリア
製薬会社や化粧品?食品業界でも多くの薬剤師が活躍しています。
製薬企業では、MR(医薬情報担当者)として医療従事者に情報提供を行なったり、研究開発部門で新薬創出に携わったりすることができます。
品質管理や製造管理などの分野でも、薬学の知識が重宝されています。
化粧品会社や食品メーカーでは、商品開発や品質管理のスペシャリストとして、製品の効果や安全性を科学的に検証する役割を担当しています。
民間企業だけでなく、公務員として薬事行政に関わる道もあります。
厚生労働省や地方自治体で、医薬品の承認審査や安全対策、薬局の監視指導などを担当し、公衆衛生の向上に貢献することができます。
北海道科学大学薬学部薬学科卒業生の主な就職先
北海道科学大学薬学部薬学科の卒業生は、主に以下のような場所に就職しています。
- 病院
- 調剤薬局
- ドラッグストア
- 製薬企業
- 公務員 など
就職は道内だけでなく、道外からも多数の求人があります。
また、大学院へ進学し、さらに高度な研究に取り組む卒業生もいます。
詳しくは本学の薬学部薬学科「就職情報?資格情報」もご覧ください。
薬学とは人々の健康と幸せを支える重要な学問
薬学は、薬を通じて人々の健康と幸せに貢献する身近で実用的な学問です。
化学?生物学の知識を活かして、新薬を開発したり、薬の適正使用に努めたりすることに、知的な面白さとやりがいがあります。
「人のためになる仕事がしたい」「医療の現場に関わりたい」「科学を学んで社会に役立ちたい」——そんな想いを持つ人に、薬学部はぴったりです。
勉強は決して簡単ではありませんが、化学や生物学の知識を基に薬の効果や安全性を探究していくのは、「知りたい!」という知的好奇心を刺激すること間違いありません。
画期的な新薬を開発したり、それぞれの薬の効果や副作用などの特徴を理解し、患者一人ひとりに適した薬物療法を提案できる専門家は、これからの医療に欠かせない存在です。
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